そこには当時まだ誰も自覚していなかった独自の時代思潮が反映されています。洗練美だろうと安っぽいキッチュさだろうと、被写体の性質に関わらず完璧な一瞬を捉えるコントロール力、シンメトリーやプロポーションの感覚に卓越したセンスと技量とが、いずれの写真にも等しく見受けられます。
ドイツ人デザイナー、ディーター・ラムスはブラウン社在籍中にデザイン・ディレクターとして数々のオーディオ機器を設計しました。本展ではラムス自身が私蔵しているブラウンのオーディオ機器を撮影した作品がご覧頂けます。引き算の末に結果として美が立ちのぼる、ラムスをラムスたらしめるデザイン美学がエバリーの写真を通じて露わになります。
"ワイヤード"は『ワイアード』誌、また"ハイファイ"は『ヴァニティ・フェア』誌でそれぞれ掲載されたものです。雑誌向けの撮影という範疇を越え、被写体を彼独自のビジュアル作品へと昇華させています。
"ワイヤード"はロバート・ミラー・ギャラリーで2000年に発表されました。"ハイファイ"はWPS1 / クロックタワー / MoMAにて2003年より半永久展示されています。
トッド・エバリーは1963年オハイオ州クリーブランド生まれ。ニューヨークとテキサス州マーファにあるドナルド・ジャッドの作品を撮影した写真により、1990年代初頭に脚光を浴びました。エバリーは現在『ヴァニティ・フェア』誌で幅広いジャンルの撮影を手がけています。またシカゴ美術館やサンフランシスコ近代美術館、ロサンジェルスのガゴシアン・ギャラリー等で個展を開催しており、2007年夏には東京の国立新美術館で開催された『スキン+ボーンズ 1980年代以降の建築とファッション』展にて作品を発表しています。
お問い合わせはギャラリーホワイトルームトウキョウまで。